2020.8.22 第903回放送分 『耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患』4回目 ゲスト:山下 勝ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「耳鼻咽喉科・頭頸部外科の疾患」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の山下 勝(やましたまさる)ドクターです。
山下さんどうぞよろしくお願いいたします。

山下勝Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は難聴について教えていただきましたが、今日はどのようなことを教えていただけますか。

山下勝Dr: 今日は、副鼻腔炎についてお話しします。
まず鼻の中がどうなっているかを簡単に説明します。

二見いすず: はい、よろしくお願いします。

山下勝Dr: 耳鼻の中は、鼻腔と副鼻腔で構成されています。
鼻腔というのは、鼻の空気の通り道のことです。
その鼻腔の周りに左右4つずつ、合計8つの副鼻腔があります。
この副鼻腔に膿がたまるのが副鼻腔炎です。

二見いすず: よく、「ちくのう症」いう言い方も聞きますが、副鼻腔炎と何が違うのでしょうか。

山下勝Dr: 副鼻腔炎には、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があって、慢性副鼻腔炎のことを、俗にちくのう症と呼びます。

二見いすず: そうなんですね。
では、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎について、それぞれ詳しく教えていただけますか。

山下勝Dr: はい。
まず急性副鼻腔炎ですが、細菌やウイルス感染が原因で起こります。
症状は1ヶ月ほどで治ります。
通常、片方の頬が痛いのが特徴です。

二見いすず: 分かりました。
次に慢性副鼻腔炎について教えてください。

山下勝Dr: はい。
慢性副鼻腔炎は、副鼻腔炎が3ヶ月以上続くものを指します。
その他にも鼻腔の形やゆがみによって、起こることもあります。
慢性副鼻腔炎は、鼻づまりや色や匂いのついた鼻水が出ることがあります。
また、最近増えているのが好酸球性副鼻腔炎です。

二見いすず: 好酸球性副鼻腔炎というのは、あまり聞き慣れませんが、どういったものなのでしょうか。

山下勝Dr: 好酸球というのは、アレルギー性鼻炎や喘息などのアレルギー反応に関わる白血球の一種で、気管支喘息や鎮痛剤へのアレルギーを持つ人がかかりやすいという特徴を持つ難病です。
手術やステロイド治療が有効的ですが、ステロイドを中止すると元に戻って再発したりする厄介な病気です。


二見いすず: そうなんですね。
よく、副鼻腔炎には鼻洗浄が良いと聞きますが、どのように洗浄したらいいのでしょうか。

山下勝Dr: おっしゃるとおりで、慢性副鼻腔炎には鼻洗浄が効果的です。
42℃程度のお湯を500mlのペットボトルに入れ、5グラムの食塩で、濃度が1%となる食塩水を作って、人肌の温度になったところで洗浄器を用いて1日2回洗浄するようにしてください。
これだけでかなりすっきりすると思います。

二見いすず 分かりました。
来週もよろしくお願いします。
お話は山下勝ドクターでした。ありがとうございました。

山下勝Dr: ありがとうございました。