2020.9.12 第906回放送分 『整形外科の疾患』2回目 ゲスト:河村 一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「整形外科の疾患」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の河村 一郎(かわむら いちろう)ドクターです。
河村さんどうぞよろしくお願いいたします。

河村一郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は肩こりについて教えていただきましたが、今日はどのようなことを教えていただけますか?

河村一郎Dr: 今日は椎間板ヘルニアについてお伝えいたします。

二見いすず: 椎間板ヘルニアはよく耳にしますが、改めてどういった病気なのか教えてください。

河村一郎Dr: はい。
まず背骨を構成する椎骨は基本的に首に7個、胸に12個、腰に5個あり、椎間板は、その椎骨のあいだのクッションのようなものです。
関節でいうと、軟骨に似た役割をします。

二見いすず: なんとなく腰にしかないイメージだったのですが、首や胸にもあるんですね?

河村一郎Dr: そうです。
そしてその椎間板ですが、おおまかな構造として、1型コラーゲンを主成分とする、椎間板の壁の役割をする線維輪と、2型コラーゲンを主成分とする、椎間板のクッションの役割をする髄核で構成されます。
椎間板に大きな負担がかかると、壁の役割をする線維輪が破綻し、内部の髄核が飛び出てしまうのです。
この突出したものが神経にあたると、いたみやしびれを引き起こします。

二見いすず: そうなんですね。
椎間板については分かりましたが、「ヘルニア」というのは、体のどの部分なのでしょうか?

河村一郎Dr: ヘルニアとは体の部位を指すのではなく、「本来にある部位から脱出する・とび出る」という意味です。

二見いすず: そうだったんですね。
今ご説明いただいた椎間板ヘルニアですが、なりやすい人の特徴などはありますか?

河村一郎Dr: 30代くらいから加齢が原因でなることもありますし、特に中腰で肉体労働をされている方は多い傾向があります。
椎間板にかかる負担の目安として、立っている状態を1とすると、座っている状態は1.4倍、座って前屈すると約1.8倍の圧力がかかると言われています。
また、喫煙者や肥満の方もなりやすいので注意が必要です。

二見いすず: 分かりました。
症状が進んだ場合、どのような治療をするのでしょうか?

河村一郎Dr: 急性期はまず局所安静であり、症状に応じてコルセットや薬を処方します。
慢性期の腰痛に対してはストレッチや筋力訓練をおすすめしています。
また、ジンジンするとかビリビリするなどの神経症状がある人にはブロック注射をします。
そこまでしても神経症状を伴い、痛みが我慢できないという方は手術が選択肢となります。


二見いすず: そうならないためにも日頃からの対策が大切だと思いますが、心がけるべきことはありますか?

河村一郎Dr: 腰に負担をかけないことと、体幹筋力を鍛えることが大切です。
できる範囲で結構ですので、意識しながら生活するのをおすすめします。

二見いすず: 分かりました。
来週以降もよろしくお願いします。
お話は、河村一郎ドクターでした。ありがとうございました。

河村一郎Dr: ありがとうございました。