2020.9.26 第908回放送分 『整形外科の疾患』4回目 ゲスト:河村 一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「整形外科の疾患」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の河村 一郎(かわむら いちろう)ドクターです。
河村さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。

河村一郎Dr: よろしくお願いいたします。
今日は骨粗しょう症についてお伝えいたします。

二見いすず: 骨粗しょう症というと、女性がなりやすいというイメージがありますが、これは本当でしょうか?

河村一郎Dr: はい。
おっしゃる通り、男性よりも女性に多くみられる病気です。
これは、閉経後に女性ホルモンの分泌が減ることが原因の一つです。
また年齢を重ねると、カルシウムの吸収が悪くなったり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDをつくる働きが弱くなったりすることも原因です。

二見いすず: 骨が丈夫かどうかは個人差があると思いますが、これは生まれつき決まっているものなのでしょうか?

河村一郎Dr: いいえ。
骨は一度出来上がると、その後ずっと変わらないと思っている方が
多いようですが、骨にも代謝があり、新しい骨をつくる「骨形成」と、古くなった骨を壊す「骨吸収」を繰り返し、丈夫な骨を維持するリモデリングという骨代謝を行っています。

二見いすず: そうなんですね。

河村一郎Dr: はい。
健康な骨だと、この2つのバランスが上手にとれているのですが、骨吸収と骨形成のバランスが崩れることが骨粗鬆症の原因の1つとされています。

二見いすず: ということは、生活習慣や食生活などを見直せば、大人になってからでも丈夫な骨を作るチャンスがあるということでしょうか?

河村一郎Dr: はい、そうです。

二見いすず: 骨を丈夫にする食事というと、乳製品や小魚などのカルシウムがいいとよく耳にしますが、他に摂った方がいい栄養素はありますか?

河村一郎Dr: カルシウムももちろん大切ですが、鮭やキノコなどに含まれるビタミンD、納豆やほうれん草などに含まれるビタミンKも積極的に摂るようにしましょう。
ただし1つの品目のみ多量にとるのではなく、バランスのとれた食事が大事と考えます。
また、ワーファリンというお薬を飲まれている方は、納豆をとると薬の効果を弱めてしまいますので、ご心配の方はかかりつけのDrに訪ねてみてください。


二見いすず: 生活習慣で気をつけることはありますか?

河村一郎Dr: 喫煙や過度な飲酒はリスクが高くなるので気をつけましょう。
適度な運動を心がけることは大事ですし、体内でビタミンDが活性化されるには適度な紫外線が必要です。

二見いすず: 女性は日焼けを気にして紫外線を避ける方が多いと思いますが、日光浴も大切なんですね。

河村一郎Dr: はい。
過剰に紫外線を浴びると皮膚を傷める原因となってしまします。
今は少し涼しくなりましたが、夏であれば日陰で30分程度、冬であれば手や顔に1時間程度浴びれば十分とされています。
また、気になる方は、年に一度、検診で骨密度をチェックされてはいかがでしょうか。

二見いすず: よく分かりました。
今月は4週にわたり、整形外科の疾患について鹿児島県医師会の河村一郎ドクターに貴重なお話をお伺いしました。
どうもありがとうございました。

河村一郎Dr: ありがとうございました。