2020.10.17 第911回放送分 『眼科疾患』3回目 ゲスト:鵜木 一彦ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「目の疾患」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の鵜木 一彦(うのき かずひこ)ドクターです。
鵜木さんどうぞよろしくお願いいたします。

鵜木一彦Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は白内障の治療について教えていただきました。
初期に発見できれば、加齢による白内障の進行は、点眼薬で進行を抑えることができるとのことでした。
一方、進行が進むと手術になりますが、それも日帰りで可能というお話でした。

鵜木一彦Dr: はい、そのとおりです。

二見いすず: 今日は、どのようなことについて教えていただけますか。

鵜木一彦Dr: 白内障手術では人工のレンズを使用します。
そのレンズの種類や術後の見え方についてお伝えいたします。
白内障の手術は、眼の中の濁った水晶体を取り除き、その代わりとなる透明な人工のレンズを挿入します。
一般的に60年くらいは目の中で透明であり続けるとされています。
また、人工レンズは多くの種類ありますが、大きく2つの種類に分かれます。

二見いすず: そうなんですね。

鵜木一彦Dr: はい。
遠く、中間、近くのどこかに一つにピントが合う「単焦点眼内レンズ」と、遠くと中間、遠くと近くなどのピントが二つ以上ある「多焦点眼内レンズ」に分類されます。

二見いすず: それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

鵜木一彦Dr: まず単焦点眼内レンズですが、これは一つの距離にピントを合わせるレンズです。
ピントを合わせたい距離をあらかじめ決めて、手術を行います。
遠くが見える、もしくは、近くが見えるということになります。
ピントを合わせた距離以外のところは、メガネでピントを調整します。


二見いすず: 「ピントを合わせたい距離」というのは、「近く」とか「遠く」とか人によって違うと思いますが、患者さんの希望で選べるということでしょうか。

鵜木一彦Dr: はい。
遠くをメガネ無しで見たい方は遠くにピントを合うレンズを選びます。
手元は裸眼では見えないので、術後はメガネ、老眼鏡で調整します。
逆に、近くをメガネ無しで見たい方は、近くの距離にピントを合うレンズを選び、遠くを見る時はメガネで調整します。

二見いすず: よく分かりました。
もう一つのレンズ、「多焦点眼内レンズ」についても詳しく教えてください。

鵜木一彦Dr: 「多焦点眼内レンズ」は、外から眼に入ってきた光を遠方と近方に振り分けることによって、2つの距離にピントが合うようになっています。

二見いすず: ということは、先ほどの単焦点眼内レンズと違って、メガネが不要になるということでしょうか。

鵜木一彦Dr: 全く不要というわけではないですが、メガネ無しでもある程度生活できるようになります。
便利になるのですが、デメリットもあります。
見る機能を遠く、近くに半々するのでシャープさがないといわれる方もいます。
また、光がまぶしかったり、暗いところでクッキリ見えなかったりするとの訴えもあります。
また、健康保険では行えず費用がかかります。
高額な料金となりますので、手術を受ける前にしっかりと説明を聞いて理解しておくことが重要です。

二見いすず: 分かりました。
来週以降もよろしくお願いいたします。
お話は鹿児島県医師会の鵜木一彦ドクターでした。ありがとうございました。

鵜木一彦Dr: ありがとうございました。