2020.11.14 第915回放送分 『インフルエンザ』2回目 ゲスト:西 順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「インフルエンザ」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の西 順一郎(にし じゅんいちろう)ドクターです。
西さんどうぞよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。
今週は、インフルエンザのワクチンについてお伝えします。
今年は新型コロナウイルスのこともあり、十分にワクチンが足りるよう、国がインフルエンザのワクチンの生産を増やしています。

二見いすず: そうなんですね。
ワクチンはいつごろ接種するのが望ましいのでしょうか。

西順一郎Dr: 11月中に接種することをおすすめします。
去年はインフルエンザは12月初旬から流行しました。
そもそも大人は、小さい頃からインフルエンザに繰り返しかかっているため、ある程度の基礎免疫を持っています。
ワクチンを接種してから2週間ぐらいで、その基礎的にもっている免疫力があがるので、例年の流行時期から逆算すると、11月中の接種が望ましいと思います。

二見いすず: 分かりました。
「大人だと基礎免疫がある」とのことでしたが、基礎免疫がない人たちもいるのでしょうか?

西順一郎Dr: 赤ちゃんには免疫がありません。
しかし、妊婦がワクチンを接種することで、抗体という感染を防ぐタンパク質が胎盤を通じて赤ちゃんにいきます。
ワクチンを接種した妊婦から生まれた赤ちゃんのインフルエンザにかかる確率は下がると言われています。

二見いすず: 妊婦さんでもワクチン接種は可能なんですね?

西順一郎Dr: はい。
妊娠中いつでも接種可能で安全ですが、妊娠初期は体調が不安定なことも多いので少し落ち着いてから接種していただきたいと思います。
妊婦さん以外にも、かかると重症化しやすい基礎疾患のある方や高齢者、高齢者に接する機会の多い方、そして乳幼児も生後6ヶ月から接種できますので、このような人たちはぜひ接種するようにしてください。
そしてもちろん、これ以外の方たちも接種をお勧めしています。

二見いすず: それは、インフルエンザにかかった場合、重症化を防ぐことができるからなのでしょうか?

西順一郎Dr: それもありますが、そもそも発症の予防になるからです。
ワクチンの効果が完全ではないため、中には、接種してもかかってしまう方がいます。
そのため、「ワクチンで発症の予防はできない」と勘違いされている方もいますが、接種した人と、接種しない人を比べると、確実に接種した方が発症する人は少ないです。

二見いすず: そうなんですね。

西順一郎Dr: はい。
「タミフルなどの薬があるから、ワクチンは必要ない」と思わずに、発症すると人にうつす可能性がありますし、薬があってもかなりきついですので、ぜひ健康な人もワクチンを接種していただきたいです。


二見いすず: 分かりました。
来週以降もよろしくお願いいたします。
お話は西順一郎ドクターでした。ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。