2020.11.21 第916回放送分 『インフルエンザ』3回目 ゲスト:西 順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「インフルエンザ」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の西 順一郎(にし じゅんいちろう)ドクターです。
西さんどうぞよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、インフルエンザのワクチンについてお話しいただきました。
特に接種して欲しいのは、基礎免疫をもたない赤ちゃんや乳幼児、かかると重症化しやすい基礎疾患のある方や高齢者、高齢者に接する機会の多い方ということでしたが、基本的には健康な方たちにも接種をおすすめするということでした。

西順一郎Dr: はい、その通りです。

二見いすず: 今週はどのようなことについて教えていただけますか。

西順一郎Dr: 今週は、インフルエンザの治療についてお伝えします。

二見いすず: インフルエンザの治療というと、イコール「タミフル」というイメージですが、他にもなにかあるのでしょうか?

西順一郎Dr: はい、あります。
インフルエンザの治療薬は、大きく分けると2つに分けられます。
1つは、インフルエンザが感染した細胞から出るところを防ぐ、「ノイラミニダーゼ阻害薬」です。
このノイラミニダーゼ阻害薬にも4つ種類があります。

二見いすず: もう1種類の治療薬はどのようなものなのでしょうか?

西順一郎Dr: まず、飲み薬タミフルです。
タミフルには錠剤と粉があります。
そして吸入する薬のリレンザとイナビル、あと点滴のラピアクタがあります。
これらがノイラミニダーゼ阻害薬です。

二見いすず: もう1種類の治療薬はどのようなものなのでしょうか?

西順一郎Dr: インフルエンザがウイルス細胞の中で増えるのを抑える、「ゾフルーザ」です。
ゾフルーザは飲み薬で錠剤だけです。ウイルスの排出を抑える効果はタミフルなどより強いですが、症状を抑える効果は一緒です。


二見いすず: インフルエンザの治療薬にはさまざまな種類があるんですね。

西順一郎Dr: そうですね。
患者さんにとって相性がいいものを選べばよいと思います。
ご自分の希望を伝えて、主治医の意見を聞いて、選ぶようにしてください。


二見いすず: もし、このような治療薬を使わなかったらどうなるのでしょうか?

西順一郎Dr: 基本的には、インフルエンザは薬を飲まなくてもほとんど治ります。
インフルエンザの治療薬ができたのは20年前からです。
それまで私たち人間はずっと薬無しでインフルエンザと付き合ってきました。
ただ治療薬を使うと、使わないのに比べて熱はおよそ1日早く下がりますし、重症化を防ぐ効果もありますので、症状が強い場合は治療薬を使ったほうがよいと思います。


二見いすず: ちなみに薬はどんな方でも使えるのでしょうか?

西順一郎Dr: はい。
高齢者、基礎疾患のある方、妊婦さん、赤ちゃんでも大丈夫です。


二見いすず: 分かりました。
来週以降もよろしくお願いいたします。
お話は西順一郎ドクターでした。
ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。