二見いすず: | 今月1月のドクタートークは「アルコール関連問題」をテーマにお送りしています。 お話は鹿児島県医師会の竹元 隆英(たけもと たかひで)ドクターです。 竹元さんどうぞよろしくお願いいたします。 |
竹元隆英Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 先週は、最近多くなった自宅やリモート飲みでの注意点、また適正な飲酒量について教えていただきました。 今週はどのようなことについて教えていただけますか。 |
竹元隆英Dr: | 今週は、「アルコールは飲み物だけど薬物でもある」という話から始めたいと思います。 |
二見いすず: | 薬物と聞くと、ドキッとしてしまいますが、これはどういう意味なのでしょうか。 |
竹元隆英Dr: | アルコールは主に脳の前頭葉を麻痺させてしまうのですが、前頭葉というのは、理性を司る部分です。 ここが麻痺すると、言ってはいけないことを言ってしまったり、隠している感情が出てきたりすることがあります。 これらの脳の作用こそが依存性の薬物、ドラックと言えるのです。 そして麻痺を繰り返すと、前頭葉の細胞が死んで萎縮してしまいます。 脳細胞というのは再生せず、海馬まで縮むとアルコール性認知症になります。 早い人だと50代で認知症になる方もいます。 |
二見いすず: | 「麻痺を繰り返すと前頭葉の細胞が死んで、そして細胞は再生しない」というのは、とても怖いことですね。 これを知らない方は多いのではないでしょうか。 |
竹元隆英Dr: | そうですね。 しかも、私たち日本人の40%はお酒に弱いというデータがあるんです。 |
二見いすず: | そうなんですか? |
竹元隆英Dr: | はい。 たくさん飲める酒豪遺伝子を持つ人が60%。 少しだけ飲める人が35%。 全く飲めない人が5%。 つまり、40%は酒豪遺伝子を持っていないんです。 ちなみに欧米人やアフリカ系の方たちは、ほぼ全員酒豪です。 |
二見いすず: | よく外国の方がお昼から飲んだりしていますけど、あれはお酒に強いからなんですね? |
竹元隆英Dr: | そうですね。 彼らはアルコールを分解する能力の高い酵素を持っています。 ちなみに日本人の中でも、分解酵素は都道府県によって違うというデータがあります。 面白いことに、日本の南北の端っこの方が強いと言われているんですよ。 |
二見いすず: | 日本の端っこが強いならば、鹿児島も入りますよね? |
竹元隆英Dr: | はい。 秋田県、岩手県、福島県、そして鹿児島県が、酒豪遺伝子の出現率が70%を超えています。 |
二見いすず: | とはいえ、飲みすぎず適正な量を守ることも大切ですね。 今月はアルコール関連問題をテーマにお送りしています。 お話は竹元 隆英ドクターでした。ありがとうございました。 |
竹元隆英Dr: | ありがとうございました。 |