2021.1.9 第923回放送分 『アルコール関連問題』2回目 ゲスト:竹元 隆英ドクター


二見いすず: 今月1月のドクタートークは「アルコール関連問題」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の竹元 隆英(たけもと たかひで)ドクターです。
竹元さんどうぞよろしくお願いいたします。

竹元隆英Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、最近多くなった自宅やリモート飲みでの注意点、また適正な飲酒量について教えていただきました。
今週はどのようなことについて教えていただけますか。

竹元隆英Dr: 今週は、「アルコールは飲み物だけど薬物でもある」という話から始めたいと思います。

二見いすず: 薬物と聞くと、ドキッとしてしまいますが、これはどういう意味なのでしょうか。

竹元隆英Dr: アルコールは主に脳の前頭葉を麻痺させてしまうのですが、前頭葉というのは、理性を司る部分です。
ここが麻痺すると、言ってはいけないことを言ってしまったり、隠している感情が出てきたりすることがあります。
これらの脳の作用こそが依存性の薬物、ドラックと言えるのです。
そして麻痺を繰り返すと、前頭葉の細胞が死んで萎縮してしまいます。
脳細胞というのは再生せず、海馬まで縮むとアルコール性認知症になります。
早い人だと50代で認知症になる方もいます。

二見いすず: 「麻痺を繰り返すと前頭葉の細胞が死んで、そして細胞は再生しない」というのは、とても怖いことですね。
これを知らない方は多いのではないでしょうか。

竹元隆英Dr: そうですね。
しかも、私たち日本人の40%はお酒に弱いというデータがあるんです。

二見いすず: そうなんですか?

竹元隆英Dr: はい。
たくさん飲める酒豪遺伝子を持つ人が60%。
少しだけ飲める人が35%。
全く飲めない人が5%。
つまり、40%は酒豪遺伝子を持っていないんです。
ちなみに欧米人やアフリカ系の方たちは、ほぼ全員酒豪です。

二見いすず: よく外国の方がお昼から飲んだりしていますけど、あれはお酒に強いからなんですね?

竹元隆英Dr: そうですね。
彼らはアルコールを分解する能力の高い酵素を持っています。
ちなみに日本人の中でも、分解酵素は都道府県によって違うというデータがあります。
面白いことに、日本の南北の端っこの方が強いと言われているんですよ。

二見いすず: 日本の端っこが強いならば、鹿児島も入りますよね?

竹元隆英Dr: はい。
秋田県、岩手県、福島県、そして鹿児島県が、酒豪遺伝子の出現率が70%を超えています。
二見いすず:  とはいえ、飲みすぎず適正な量を守ることも大切ですね。
今月はアルコール関連問題をテーマにお送りしています。
お話は竹元 隆英ドクターでした。ありがとうございました。

竹元隆英Dr: ありがとうございました。