2021.1.23 第925回放送分 『アルコール関連問題』4回目 ゲスト:竹元 隆英ドクター


二見いすず: 今月1月のドクタートークは「アルコール関連問題」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の竹元 隆英(たけもと たかひで)ドクターです。
竹元さんどうぞよろしくお願いいたします。

竹元隆英Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、ヤケ酒や急性アルコール中毒の危険性、また日常的に飲む人も脱水などに注意が必要というお話でした。
今週はどのようなことについてお話いただけますか。

竹元隆英Dr: 今週はアルコール依存症についてお伝えいたします。

二見いすず: 分かりました。
そもそもアルコール依存症というのは、どのような状態なのでしょうか。

竹元隆英Dr: アルコール依存症とは、アルコールを繰り返し多量に摂取した結果、アルコールをコントロールできなくなり、精神および身体的機能、そして社会的機能が障害されている状態をいいます。
長期間多量に飲酒すれば、誰にでもアルコール依存症になる可能性があります。

二見いすず: 具体的にはどのような症状があらわれるのでしょうか?

竹元隆英Dr: 飲酒をやめたり、量を減らしたりしたときに、手足のふるえや発汗、イライラ、不眠などの離脱症状、いわゆる禁断症状が出るとか、耐性ができて以前より飲酒量を増やさなければ酔えなくなる、などが挙げられます。
また、精神症状として怒りっぽくなる、自己中心的になる、不安やうつ病、認知症などがあり、身体症状としては肝臓疾患やがん、そして社会的障害として学業や仕事、趣味が続けられなくなったり、人間関係がうまくいかなくなったりします。
さらに、飲酒運転やDV、育児放棄など重大な問題も発生することがあるんです。

二見いすず: いろんな症状が出てきて、本当に大変なんですね。
現在、アルコール依存症の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

竹元隆英Dr: アルコール依存症の患者数は、全国でおよそ100万人ですが、そのうち治療しているのは、わずか5万人ほどと言われています。

二見いすず: ほとんどの方が治療していないということなんですね。
それはなぜでしょうか。

竹元隆英Dr: 自分では依存症だと思っていない、認めたくないというケースがあります。
また、差別意識があることから、認めたくない、受診したくないというケースもあります。
アルコール依存症は、本人の意志が弱い、あるいは根性がないから依存症になったという誤解や偏見があります。
しかし先ほどもお伝えしたとおり、誰でもなる可能性があるのです。
誤解や偏見は本人やご家族にアルコール依存症を否認、つまり現実から目を逸らしたり隠したりする原因になってしまい、それが治療、回復、社会復帰の妨げになっています。
ぜひ、みなさんにはアルコール依存症について正しく知っていただきたいと思います。

二見いすず: 分かりました。
今月はアルコール関連問題をテーマにお送りしています。
お話は竹元 隆英ドクターでした。ありがとうございました。

竹元隆英Dr: ありがとうございました。