2021.1.30 第926回放送分 『アルコール関連問題』5回目 ゲスト:竹元 隆英ドクター


二見いすず: 今月1月のドクタートークは「アルコール関連問題」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の竹元 隆英(たけもと たかひで)ドクターです。
竹元さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。

竹元隆英Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週はアルコール依存症の症状や差別的な見方はよくないということを教えていただきました。
今週はどのようなことについて教えていただけますでしょうか。

竹元隆英Dr: アルコール依存症の治療についてお伝えします。
アルコール依存症の治療は一滴も飲まないという断酒が原則ですが、最近ではアルコールの量を減らす、減酒という治療法もあります。
しかし、減酒はとても難しいです。

二見いすず: そうなんですね。

竹元隆英Dr: ちなみに依存の反対は、自立なのですが、自立というのは、何も頼らないということではなく、いろいろなものに程よく頼るということなんです。
健康的なつながりを意識して、趣味や仲間が3つ〜4つグループあるといいです。

二見いすず: 多趣味の方がいいんですね?

竹元隆英Dr: はい。
多趣味だとどれか1つが上手くいかなくても大丈夫なんです。
お酒など1つのものに依存してしまうことで、依存症という病気になるんです。
いろんな趣味やつながりを広げることが大切です。

二見いすず: 現在、すでにアルコール依存症になっている場合は、どのようにつながりを広げるといいのでしょうか。

竹元隆英Dr: 自分の気持ちや過去の失敗を素直に話せる仲間を持つことがとても大切です。
自分が素直になれる場所、同じ苦しみを持っている人同士が分かり合えるような、断酒会やAAなどの自助グループに参加するのをおすすめします。
アルコール依存症の治療では、患者さん自らの意志で断酒を決断すること、治療の支えになる身近な仲間を持つことが大切です。
また、ご家族の支えもとても重要です。

二見いすず: ご家族が気をつけるべきポイントというのはあるのでしょうか。

竹元隆英Dr: 「二度と飲まない」と本人に誓わせることはよくありません。
また失敗したときは本人がいちばん辛い思いをしているので責めるのもよくないです。
真面目な人ほど依存症になりやすいとも言われていますので、応援しながらもあまり期待しすぎない態度で接して、失敗しても立ち上がれる環境にすることが大切です。

二見いすず: 最後にアルコール依存症の方だけでなく、アルコールを飲む方全員に向けて、メッセージをお願いします。

竹元隆英Dr: アルコールは適量なら人間関係を円滑にするなどの効果もありますが、それ以上に飲むと健康障害や精神障害、社会的障害までもたらしてしまいます。
ぜひ週に一度は休肝日を設けて、適切な量でお酒を飲んでいただきたいです。

二見いすず: 今月は5週にわたってアルコール関連問題をテーマに貴重なお話をしていただきました。
お話は鹿児島県医師会の竹元 隆英ドクターでした。
ありがとうございました。

竹元隆英Dr: ありがとうございました。