2021.5.8 第940回放送分 『胃ガン』2回目 ゲスト:上之園 芳一ドクター


二見いすず: 今月5月のドクタートークは「胃ガン」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の上之園 芳一(うえのその よしかず)ドクターです。
上之園さんどうぞよろしくお願いいたします。

上之園芳一Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、年に1回胃カメラの検査をする大切さについて教えていただきました。
今日はどのようなことについてお伝えいただけますか。


上之園芳一Dr: 今日は、胃ガンの治療についてお伝えします。
ガンによって条件は変わるのですが、胃がんは、「早期の胃ガン」と「進行した胃ガン」の2つに分かれます。

二見いすず: 早期ガンは早く見つかった小さなガンで、進行ガンは遅く見つかった大きなガンということでしょうか?

上之園芳一Dr: そこは勘違いされがちなのですが、胃がんの場合の早期ガンとは、「胃の表面の粘膜に止まっているもの」です。
一方進行ガンとは「胃の壁の筋肉まで到達しているもの」を指します。
つまり、ガンが見つかった見た目の大きさでは無く、どこまで根をはっているかで分けられます。

二見いすず: そうなんですね。

上之園芳一Dr: 先週もお伝えしたとおり、早期発見できることに越したことはありません。
年に1回の胃カメラで発見して、先ほどお伝えした「胃の表面の粘膜にとどまっている早期ガン」なら、胃カメラで切除する内視鏡治療が受けられます。
これが万一胃ガンになったときの最も望ましい治療方法だと思います。

二見いすず: 早期ガンだとすべて胃カメラで治療できるのでしょうか?

上之園芳一Dr: 残念ながらそうとは限りません。
内視鏡治療の適応は決められていて、早期胃ガンでも粘膜より深く広がっていると胃カメラでの治療ではなく手術になります。
ちなみに全国の統計でも胃がんの患者さん全体の6割は早期ガンですから、多くが胃カメラでの内視鏡治療を受けられます。

二見いすず: 手術について、もう少し詳しく教えてください。

上之園芳一Dr: はい。
手術は腹腔鏡手術と開腹手術の2つがあります。
約8割の腹腔鏡手術で手術が可能ですが、非常に進行した患者さんは現在でも開腹手術が行われています。

二見いすず: 分かりました。
先週もお話いただいたとおり、やはり年に1回の胃カメラ検査がどれほど大切かが分かりますね。

上之園芳一Dr: 本当にそうなんです。
年に1回、症状がなくても胃カメラの検査をする。
これをしっかりと覚えておいていただきたいです。
ちなみに少し余談ですが、大腸ガンの検査は2、3年に1回と言われています。

二見いすず: それはどうしてですか?

上之園芳一Dr: 大腸がんの場合、最初は良性のポリープから始まることが多く、猶予があるんです。
でも、胃がんは小さくても最初からガンはガン。
とにかく早期発見が大切です。

二見いすず: 分かりました。
今月は胃ガンをテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の上之園芳一ドクターでした。
ありがとうございました。

上之園芳一Dr: ありがとうございました。