2021.5.29 第943回放送分 『胃ガン』5回目 ゲスト:上之園 芳一ドクター


二見いすず: 今月5月のドクタートークは「胃ガン」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の上之園 芳一(うえのその よしかず)ドクターです。
上之園さん、最終週もどうぞよろしくお願いいたします。

上之園芳一Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、胃ガンをゼロにすることも可能な夢の薬である、免疫チェックポイント阻害剤、オプジーボについてお話いただきました。
今日はどのようなことについてお話いただけますか。


上之園芳一Dr: 今日は手術後の再発防止に向けて、治療後の注意点についてお伝えいたします。

二見いすず: 分かりました。
せっかく手術や抗ガン剤で治ったとしても、再発しないための注意は必要ですよね。

上之園芳一Dr: はい。
ガンは1つと言えども、ガン細胞はその中に何万個とあるんです。
だから絶対に再発しないということはありません。
だからこそ術後も定期的な検査が大切なんです。

二見いすず: 1週目からも繰り返しお話いただいているように、年1回の胃カメラ検査が大切ということでしょうか。

上之園芳一Dr: そうですね。
それに加えて定期的なCT検査、採血での腫瘍マーカーのチェックも必要になります。

二見いすず: 分かりました。
胃ガンになった患者さんは、手術後に何か症状が出たりすることがあるのでしょうか。

上之園芳一Dr: 胃切除後症候群という胃を切除したあとに出てくる症状はあります。
例えば食事が直接腸に流れ込むことで腸がびっくりして、低血糖、冷や汗、腹痛などになるダンピング症状というものや、食べ物が残ったままになるになる、うっ滞と呼ばれる症状などです。
その他には、腸閉塞、骨粗鬆症、逆流性食道炎などの症状が出ることがあります。
術後の患者さんのための胃の専門病院が鹿児島にもあるので、そのような病院でご相談されるのも良いかと思います。

二見いすず: そうなんですね。
術後、日常生活で禁止されることはありますか。

上之園芳一Dr: 「絶対にしてはいけないもの」というのはありません。
ただし、食事の摂り方については栄養士さんが指導してくれます。

二見いすず: 胃ですから、これまでの食事の仕方といろいろ異なる部分がでてきそうですね。

上之園芳一Dr: そうですね。
例えば通常ですと、便秘になれば繊維を摂った方がいいと言いますが、胃を切除した人は繊維を分解できないので逆に便秘になりやすいんです。

二見いすず: 真逆になるんですね。
他にもなにか食事で注意した方がいいことはありますか。

上之園芳一Dr: 術後3ヶ月くらいは、1回の食事量を無理せず少なめにして、分食と言って回数を多くするなどの工夫が必要です。

二見いすず: 分かりました。
今月は胃ガンをテーマに、鹿児島県医師会の上之園 芳一ドクターに貴重なお話をしていただきました。
上之園さん、5週わたり、ありがとうございました。

上之園芳一Dr: ありがとうございました。