2021.6.26 第947回放送分 『新型コロナウイルス』4回目 ゲスト:川村 英樹ドクター


二見いすず: 今月6月のドクタートークは「新型コロナウイルス」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の川村 英樹(かわむら ひでき)ドクターです。
川村さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。

川村英樹Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、新型コロナウイルスの検査について教えていただきました。
今日はどのようなことについて教えていただけますか。


川村英樹Dr: 今日は、新型コロナウイルスの治療についてお伝えします。
まず軽症の場合ですが、潜伏期はおよそ5日、長い人だと12.5日です。
全体の80%が軽症で、発症後、かぜ症状や味覚嗅覚障害などの症状が出ます。
鹿児島の場合、このような軽症の患者さんですと、ホテルでの宿泊療養もしくは医療機関での入院となります。

二見いすず: ホテルでの宿泊療養になる人と、入院する人は、どのような違いで対応が変わるのでしょうか?

川村英樹Dr: 若い人はホテルでの宿泊療養が多いです。
基礎疾患のある患者さんやご高齢な方は入院となり、療養期間は10日程度となります。

二見いすず: 分かりました。

川村英樹Dr: 次に肺炎・呼吸困難の症状のある方ですが、これは全体の20%です。
このような患者さんは感染対策ができる専用の部屋で入院となります。
最後に重症の方ですが、全体の5%になります。
ICUに入室し、人工呼吸器やECMOでの治療になります。
現在のところ致死率は2、3%で、ご高齢の方の死亡率が高く、80代で15%となっています。

二見いすず: ご高齢の方や基礎疾患のある方は、より気をつけていただきたいですね。
ところで、新型コロナウイルスは後遺症も気になるところです。

川村英樹Dr: そうですね。
後遺症としては、倦怠感、息切れ、不眠、うつ症状、血栓症などがあります。
また軽症の人であっても、退院後は息切れなどに注意してください。
そして筋力も落ちていると思うので、社会復帰する際は無理のない範囲でゆっくりと日常生活にシフトしていきましょう。
私たち医療従事者も日々頑張っています。
応援していただけるとうれしいです。
時々、感染者や医療従事者への差別などが問題になっていますが、新型コロナウイルスは、誰でもかかる感染症です。
社会全体で取り組むべきことですので、差別はせず、一人ひとりが思いやりの気持ちを忘れずに、社会全体で対策と予防に努めていただきたいと思います。

二見いすず: 今月は新型コロナウイルスをテーマに、鹿児島県医師会の川村 英樹ドクターに貴重なお話をしていただきました。
川村さん、4週にわたりありがとうございました。

川村英樹Dr: ありがとうございました。