2021.7.3 第948回放送分 『熱中症』1回目 ゲスト:杉本 龍史ドクター



二見いすず: 今月7月のドクタートークは「熱中症」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島市立病院救命救急センターの杉本 龍史(すぎもと りゅうじ)ドクターです。
杉本さんどうぞよろしくお願いいたします。

杉本龍史Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今回、杉本さんには救命救急医というお立場から熱中症の危険性などについて、5週にわたってお話していただけるとのことですが、1週目の今日はどのようなことについてお話いただけますか。

杉本龍史Dr: まずは、ラジオをお聞きのみなさんに最初に知っていただきたい、「熱中症の予防」についてお伝えいたします。

二見いすず: 分かりました。
熱中症の予防と言うと、水分補給というイメージがありますが・・・。

杉本龍史Dr: そうですよね。
おそらくラジオをお聞きのみなさんも、「熱中症予防イコール水分補給」と思っていらっしゃる方が多いと思います。
しかし実は、熱中症になる条件がそろった環境下では、水分をとっていても熱中症になることがあるのです。

二見いすず: そうなんですか?

杉本龍史Dr: はい。
むしろ、「水分補給しているから大丈夫」と思い込んで、暑い中で作業を頑張ってしまうことが危険です。
実際、熱中症で搬送されてきた方が「今日は3リットルくらい水分をとっていたのに・・・」と言われることもあるくらいです。

二見いすず: そんなに多くの水分をとっていても、熱中症になってしまうんですね。
つまり、水分補給では十分な予防とは言えないということでしょうか。

杉本龍史Dr: そうなんです。
「熱中症はどんなときに発症するか」については、また来週詳しくお伝えしますが、とにかく一般的に言われている、水分補給や休憩などといった些細な予防ではなく、夏の行動を根本から見直すことが大切です。

二見いすず: 「夏の行動を根本から見直す」というのは、具体的にはどのようなことでしょうか?

杉本龍史Dr: 「暑いときには、我慢しない。無理をしない。頑張らない」。
これが一番の予防につながると思います。
去年から新型コロナウイルスの予防で、「不要不急」がずっと言われていますよね?

二見いすず: はい、そうですね。

杉本龍史Dr: 熱中症についても同じです。
暑いときの不要不急の外出は避ける。
これが本当に大切です。
生活のためのお仕事ならば難しいのかもしれませんが、例えば庭の草むしりやお墓の掃除など、急を要するものでなければ、日を改めたり、時間帯をずらしたりして、無理な活動は避けてもらいたいです。

二見いすず: 暑い日の不要不急の外出は避ける。
しっかり覚えておきたいですね。

杉本龍史Dr: ぜひお願いしたいです。
「不要不急」という言葉が浸透した今年は、熱中症のリスクを下げるチャンスだと思っています。

二見いすず: よく分かりました。
今月は熱中症をテーマにお送りしてまいります。
お話は鹿児島市立病院の杉本龍史ドクターでした。
杉本さん、ありがとうございました。

杉本龍史Dr: ありがとうございました。