二見いすず: | 今月7月のドクタートークは「熱中症」をテーマにお送りしています。 お話は鹿児島市立病院救命救急センターの杉本 龍史(すぎもと りゅうじ)ドクターです。 杉本さんどうぞよろしくお願いいたします。 |
杉本龍史Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 先週は、熱中症の予防について教えていただきました。 熱中症になる条件がそろった環境下では、水分をとっていても熱中症になることがあり、十分な予防にはつながらないこと。 むしろ暑い日の不要不急の外出を避けることが、一番の予防になるというお話でした。 ところで、「熱中症になる条件がそろった環境」というのは、どのような環境なのでしょうか。 |
杉本龍史Dr: | その時の気温はもちろん、湿度、風が吹いているかどうか、日は照っているかどうかなどの環境的な要因。 そしてもう一つ、その方の体質や、持病はあるかどうか、作業内容といった個人的な要因。 この環境的な要因と個人的な要因の掛け合わせによって、熱中症になるかどうかが決まるんです。 |
二見いすず: | 単純に暑いからという理由だけではないんですね。 環境的な要因として、熱中症になりやすい時期というのはあるのでしょうか。 |
杉本龍史Dr: | はい、あります。 熱中症の発症には大きく2つのピークがあります。 1つ目は本格的に暑くなる前の梅雨明けの時期です。 |
二見いすず: | 暑くなる前なんですね? それはなぜでしょうか? |
杉本龍史Dr: | この時期は湿度の高さに加え、まだ体が暑さに慣れていません。 それなのについ油断して運動や作業をしていまい、熱中症になる人が後を絶たないんです。 |
二見いすず: | そうなんですね。 もう1つのピークは、やはり猛暑日の続く8月ということでしょうか? |
杉本龍史Dr: | はい、そうです。 私たちは普段、汗をかいて体温調節をすることで、神経やホルモンを正しく働かせて体の機能を正常に保っています。 しかし、気温や湿度があまりにも高くなると、体温調節機能がうまく働かず、体温がどんどん上昇してしまうんです。 |
二見いすず: | その結果、どうなってしまうのでしょうか? |
杉本龍史Dr: | 神経の働きや体内のミネラルバランスが狂ったり、脳や心臓、腎臓などの重要な臓器がダメージを受けたりして、最悪の場合は死に至ることもあります。 毎年のように熱中症の患者さんが搬送され、少なくない人数を看取ったり、寝たきりになってしまった方を施設に送ったりしています。 先週からの繰り返しになりますが、暑い日の不要不急の外出は避けること。 これをぜひ覚えておいていただきたいです。 |
二見いすず: | よく分かりました。 今月は熱中症をテーマにお送りしています。 お話は鹿児島市立病院の杉本龍史ドクターでした。 ありがとうございました。 |
杉本龍史Dr: | ありがとうございました。 |