二見いすず: | 今月7月のドクタートークは「熱中症」をテーマにお送りしています。 お話は鹿児島市立病院救命救急センターの杉本 龍史(すぎもと りゅうじ)ドクターです。 杉本さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。 |
杉本龍史Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 先週は、熱中症の症状について教えていただきました。 重症度に応じてI度からV度まで分かれているとのことでしたが、症状だけをみて「夏だから熱中症だろう」と安易に自己判断しないことが最も大切というお話でした。 |
杉本龍史Dr: | はい。 それは一般の方だけではなく、私たち医療従事者にも言えることなんです。 「熱中症の疑い」として救急搬送されてきても、本当に熱中症か、それとも別の病気なのか、検査をするまでは分かりません。 ですからまずは先入観を持たずに、さまざまな角度から検査をします。 |
二見いすず: | 検査をした上で熱中症と確定した場合、杉本さんのいらっしゃる救命救急センターではどのような治療をされるのですか? |
杉本龍史Dr: | 点滴での水分補給や、体を内と外から強力に冷やす治療をします。 さらに脳や心臓、腎臓といった重要な内臓がダメージを受けている場合は、それを個別に治療していきます。 しかし残念ながら、最善の治療を尽くしても命を落としてしまう患者さんはいらっしゃいます。 |
二見いすず: | それはとてもつらいお話ですね。 |
杉本龍史Dr: | はい。 そして重い後遺障害が残ることがあることも、みなさんに知っておいていただきたいです。 |
二見いすず: | 熱中症で重い後遺障害が残るというのは、あまり知られていないように思います。 |
杉本龍史Dr: | そうですね。 脳がダメージを受けて意識が戻らないまま、いわゆる植物状態になる方や、腎臓の後遺症で人工透析が必要となる方、介護が必要な寝たきりになってしまう方も決して少なくないことを、夏の時期は頭のすみに置いて行動していただきたいですね。 |
二見いすず: | 防げていたかもしれないと思うと、ご本人はもちろんご家族もとても後悔してしまいますよね。 |
杉本龍史Dr: | はい。 熱中症は正しい知識をもって予防すれば、防げる可能性があるんです。 1週目でもお伝えしましたが、「暑いときは我慢しない。無理をしない。頑張らない」。 これが一番の予防につながると思います。 とにかく暑いときの不要不急の外出は避けること。 ご自分の大切な命をご自身で守るという意識を持っていただきたいです。 |
二見いすず: | よく分かりました。 熱中症の予防は、今日からできることです。 この夏は一人ひとりがしっかりと意識したいですね。 今月は熱中症をテーマに、鹿児島市立病院救命救急センターの杉本龍史ドクターに貴重なお話をしていただきました。 杉本さん、どうもありがとうございました。 |
杉本龍史Dr: | ありがとうございました。 |