2021.8.21 第955回放送分 『小児疾患』3回目 ゲスト:楠生 亮ドクター


二見いすず: 今月8月のドクタートークは「小児科疾患」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島市立病院小児科の楠生 亮(くすばえ りょう)ドクターです。
楠生さんどうぞよろしくお願いいたします。

楠生 亮Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今週はどのようなことについて教えていただけますか。

楠生 亮Dr: 今週は夏休み中の生活習慣についてお伝えいたします。
特に睡眠と食事には気をつけるようにしてください。
まずは睡眠についてです。
夏休み中に夜更かしに慣れてしまうと朝起きにくくなり、それが理由で2学期以降、学校へ行けない子どもたちがいます。
特に思春期のお子さんは気をつけていただきたいです。

二見いすず: それはどうしてでしょうか?

楠生 亮Dr: 思春期の頃は第二次性徴期で、男女ともに自律神経のバランスが崩れやすいです。
ときどき朝礼で倒れる生徒さんがいますが、それが理由です。
朝は、寝ている時の体を休める時に働く神経から、起きている時の体を動かすときに働く神経に急に切り替わります。
自律神経のバランスが崩れているお子さんは、体を動かすときに働く神経になかなか切り替わらず、朝がつらいと感じます。
睡眠不足があると、さらにつらく感じます。
休み明けの少し前から規則正しい生活に戻すよう心がけましょう。

二見いすず: ところで子どもたちは何時間くらい睡眠をとるのが理想的なのでしょうか?

楠生 亮Dr: 小学生だと9時間、中学生だと7、8時間が理想ですが、世界の中でも日本の子どもたちは睡眠時間が短いです。
成長ホルモンは夜に出るので、丈夫な体を作るためには十分な睡眠は必要です。
睡眠がとれないと疲れも取れず、昼間の眠気が強いです。
そうなるとイライラしやすくなりますし、勉強に集中できないばかりか、事故につながる危険性もあります。
さらに体の抵抗力も落ちるのでかぜもひきやすくなります。
したがって睡眠はしっかり確保して欲しいです。

二見いすず: 分かりました。
続いて食事についての注意点も教えてください。

楠生 亮Dr: 夏休みは給食がなく、いまは共働きの家庭も多いので、どうしても食事が偏りがちになると思います。
ファーストフードやジャンクフードを食べ続けてそれだけで害になることはありませんが、子どもの頃から濃い味が習慣になると、糖分や塩分の取り過ぎにつながる可能性があります。
暑くて家に閉じこもる時間が長くなると、肥満には注意が必要です。

二見いすず: 肥満になった場合、どのような健康リスクがあるのでしょうか?

楠生 亮Dr: 子どものうちから動脈硬化が始まってしまうことがわかっています。
大人になってから肥満になるよりも早く病気になりやすいので注意が必要です。

二見いすず: 分かりました。
お話は鹿児島市立病院の楠生亮ドクターでした。
ありがとうございました。

楠生 亮Dr: ありがとうございました。