二見いすず: | 今月9月のドクタートークは「整形外科疾患」をテーマにお送りしています。 お話は鹿児島県医師会の松野下 幸弘(まつのした ゆきひろ)ドクターです。 松野下さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。 |
松野下 幸弘Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 先週は骨折の多い場所とその治療法についてお話いただきました。 太もも、手首、背骨の骨折が多く、特に太ももの骨折は体にさまざまな影響があることから、早めに手術して早めにリハビリをすることが大切とのことでした。 今日はどのようなことについて教えていただけますか。 |
松野下 幸弘Dr: | 今日は、アキレス腱断裂についてお伝えします。 |
二見いすず: | アキレス腱断裂というのは、アキレス腱が切れてしまうということでしょうか? |
松野下 幸弘Dr: | そうですね。 アキレス腱の一部または全部が切れてしまうことです。 およそ80%がスポーツをしている最中に起きます。 急な踏み込みやダッシュ、ジャンプなど、ふくらはぎの筋肉に急に力がかかったときが多いです。 |
二見いすず: | 断裂というと、聞いただけで痛そうですが・・・ |
松野下 幸弘Dr: | そうですね。 患者さんは「後方から蹴られた感じ」とか、「ボールが当たった感じ」などと表現すること多いです。 断裂する時の音が聞こえることもあると言います。 |
二見いすず: | それは本当に痛そうです。 アキレス腱が切れてしまうと、歩くことはまったくできないのですか? |
松野下 幸弘Dr: | 歩行が可能な場合もありますが、つま先立ちはできません。 主に30代から50代の男性に多く、触診やエコー、MRIで診断します。 |
二見いすず: | 治療法としては、やはり手術なのでしょうか? |
松野下 幸弘Dr: | 2つありまして、手術をしない保存療法と、手術があります。 保存療法は、医師や理学療法士による厳格な管理のもと、患者さんにも治療をよく理解し指導を遵守していただく必要があり、それができないようなら逆に再断裂率を高める危険性があるので注意が必要です。 |
二見いすず: | 分かりました。 手術をしない保存療法ですが、具体的にはどのような治療を行うのでしょうか? |
松野下 幸弘Dr: | まずはギプスで固定し、その後ハイヒールのように踵を上げた装具をつけて歩行訓練をします。 それから徐々に運動量を増やして、元のスポーツに復帰するには半年ほどかかります。 |
二見いすず: | 手術の場合もスポーツ復帰までは半年ほどかかるのでしょうか? |
松野下 幸弘Dr: | 手術の場合は少し早く、4ヶ月から6ヶ月での復帰を目指します。 |
二見いすず: | いずれにしても結構な時間がかかるんですね。 そもそもアキレス腱断裂にならないようにしたいですが、予防できることはありますか? |
松野下 幸弘Dr: | はい。 運動前の足首周りのストレッチ、アキレス腱伸ばしが大切です。 また、ストレッチ以外では急な動作を行わないように注意することも大切です。 |
二見いすず: | よく分かりました。 今月は整形外科疾患をテーマに、鹿児島県医師会の松野下幸弘ドクターに貴重なお話をしていただきました。 松野下さん、どうもありがとうございました。 |
松野下 幸弘Dr: | ありがとうございました。 |