2021.11.13 第967回放送分 『呼吸器疾患』2回目 ゲスト:井上 博雅ドクター


二見いすず: 今月11月のドクタートークは「呼吸器疾患」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会、鹿児島大学 呼吸器内科の井上 博雅(いのうえ ひろまさ)ドクターです。
井上さんどうぞよろしくお願いいたします。

井上 博雅Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、新型コロナウイルスの第6波についてと、その備え方について教えていただきました。
今日は、新型コロナウイルスに加え、インフルエンザについてお話をお伺いしたいと思います。
11月に入りまして、例年ですとインフルエンザワクチンを接種するシーズンに入ってきました。
ただ昨年度は、インフルエンザは流行しなかったと記憶しています。

井上 博雅Dr: そうですね。
しかし昨年度に流行しなかった分、免疫を持たない方が増えて、ひとたび流行すればインフルエンザが広がる恐れはあります。
日本の夏の時期に冬を迎えた南半球では大きな流行はみられなかったようですが、一部の地域では流行があったと報告されています。
ですから、インフルエンザのワクチンもしっかり接種するようにしてください。

二見いすず: 昨年度にインフルエンザが流行しなかったから今年も大丈夫だろうと、油断してはいけないということですね。

井上 博雅Dr: はい。
確かにすべての呼吸器感染症においては、去年から習慣化されているマスク着用と徹底した手洗いや手指の消毒で、患者さんの数は減ってはきています。
しかし、重症化予防としては、やはりインフルエンザのワクチンも、健康上問題なければきちんと打ってほしいと思います。

二見いすず: 分かりました。
ちなみに新型コロナウイルスのワクチン接種がまだ終わっていない方もいらっしゃると思いますが、そのような人はどうしたらいいでしょうか?

井上 博雅Dr: まずは2回目のコロナワクチンの接種を終わらせましょう。
厚労省は、コロナワクチンと他のワクチンとの接種間隔は原則2週間空けるよう求めています。
よって、2回目のコロナワクチンの接種後およそ2週間以上空けてから、インフルエンザのワクチンを接種してください。
私からコロナに関して、みなさんにお願いがあります。

二見いすず: はい。

井上 博雅Dr: いまだに、医療従事者やその家族に対して、偏見や差別は根強いものがあります。
「自分自身や家族を感染から守りたい」という気持ちは皆さん同じです。
しかし、その程度が過ぎると、医療従事者への攻撃になってしまいます。
私ども医療従事者は、万全の体制で、日々使命感を持って、診療にあたっています。
心配しすぎず、正しい情報に基づいて冷静に行動してほしいと思います。
また、感染者やその家族に対して、差別や嫌がらせもあるようです。
充分に気をつけていても感染してしまう可能性は誰にでもあります。
コロナではなく喘息などで咳をしている方に対しても、お互いに思いやりを持って、接してほしいと思います。

二見いすず: 大切なことですね。
改めて心に刻みましょう。
今月は呼吸器疾患をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の井上 博雅ドクターでした。
ありがとうございました。

井上 博雅Dr: ありがとうございました。