2021.11.20 第968回放送分 『呼吸器疾患』3回目 ゲスト:井上 博雅ドクター


二見いすず: 今月11月のドクタートークは「呼吸器疾患」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会、鹿児島大学 呼吸器内科の井上 博雅(いのうえ ひろまさ)ドクターです。
井上さんどうぞよろしくお願いいたします。

井上 博雅Dr: よろしくお願いいたします。
今日は、気管支喘息とCOPDについてお話いたします。

二見いすず: 喘息はみなさん知っていると思いますが、COPDは知らない方もいると思うので、簡単にご説明をお願いします。

井上 博雅Dr: COPD、慢性閉塞性肺疾患とは、従来、肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた病気の総称です。
タバコ煙などの有害物質を長期に吸入曝露すること、すなわち喫煙が原因で生じる病気で、喫煙習慣のある中高年に発症する、肺の生活習慣病と言えます。

二見いすず: 喘息とCOPD、それぞれどのような症状があるのでしょうか?

井上 博雅Dr: 症状だけでみると、喘息とCOPDは似ている部分が多い病気です。
咳や痰、喘鳴、息苦しさなどの症状があります。
ただし、症状が出るタイミングが異なり、喘息の場合は、夜間から早朝にかけての安静時に起こりやすいのに対し、COPDは坂道や階段を昇るときなど体を動かしたときに息切れを感じ、咳や痰が出ます。

二見いすず: 喫煙の習慣がありますと、咳や痰が出ても、「このくらいは」と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。

井上 博雅Dr: そうですね。
年齢が進むとともに病気が進行するので、病気ではなく、年のせいだと感じている方が多いようです。
同じ年代の方と比べて、坂道や階段、ジョギングなどで息切れが強いかどうかが重要ですね。
現在40歳以上で喫煙歴があり、坂道や階段での息切れがある方や咳や痰が続いている方は、COPDかどうかをチェックするため一度受診されることをおすすめします。

二見いすず: 治療はどのようなことをするのでしょうか。

井上 博雅Dr: 残念ながら、現在COPDを根本的に治す治療法はありません。
しかし、吸入薬により症状はとても軽くなりますし、将来の入院や死亡などのリスクを抑えることはできます。
何よりも薬の前に、治療の第一歩は禁煙です。
そして喘息もそうですが、COPDもその場で効いて、より少ない薬の量で効く吸入薬での治療が効果的です。

二見いすず: 喘息をお持ちの方は、このコロナ禍だとやはりリスクは高くなるのでしょうか。

井上 博雅Dr: ウイルス感染症は喘息を悪くさせてしまうリスク因子です。
コロナもウイルスですし、万一コロナに感染した場合にも、喘息が悪化しないよう、日頃から吸入薬を含めた治療を続けることが大切です。

二見いすず: 分かりました。
今月は呼吸器疾患をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の井上 博雅ドクターでした。
ありがとうございました。

井上 博雅Dr: ありがとうございました。