2021.11.27 第969回放送分 『呼吸器疾患』4回目 ゲスト:井上 博雅ドクター


二見いすず: 今月11月のドクタートークは「呼吸器疾患」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会、鹿児島大学 呼吸器内科の井上 博雅(いのうえ ひろまさ)ドクターです。
井上さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。

井上 博雅Dr: よよろしくお願いいたします。
今日は、肺がんについてお話しいたします。

二見いすず: 今、日本人の二人に一人は、一生のうちに何かしらのガンになると言われていますよね。

井上 博雅Dr: そうですね。
ガンは日本人の死因の一位で、その中でも肺がんで亡くなる方が最も多く、鹿児島県においても令和元年のデータでは、肺がんが最も死亡者数の多いガンです。

二見いすず: そうなんですね・・・

井上 博雅Dr: しかし、最近では早期発見、治療を行うことで、治癒や長期の予後(長期生存)が期待できるようになりました。

二見いすず: 早期発見というと、やはりみなさん人間ドックなどで見つかることが多いのでしょうか。

井上 博雅Dr: そうですね。
以前は、血痰や咳、胸痛などの症状が契機で発見されることが多かったのですが、無症状での健診や、他の病気で胸部エックス線やCTを撮ったときに偶然発見されることが多くなってきました。

二見いすず: 「無症状で本人も気づかないまま」となりますと、やはり定期的な検診の大切さが改めて分かりますね。

井上 博雅Dr: そうですね。
肺がんは周囲の組織に広がりながら増えていき、脳や骨などの、離れた臓器に転移しやすい特徴があります。
そこで、なるべく早く発見する。これがとても大切です。

二見いすず: それでも万一、肺がんになってしまった場合、治療はどのようなものがあるのでしょうか。

井上 博雅Dr: 肺がんの治療には大きく3種類あります。
一つ目が手術、二つ目が放射線治療、三つ目が抗癌剤などによる薬物療法です。
これらを組み合わせて有効な治療を行います。
放射線治療や抗癌剤治療というと、副作用がきついというイメージがあると思いますが、最近は副作用対策も充分にできるようになりました。
抗癌剤の副作用の症状がほとんどあらわれずに治療ができる患者さんも増えています。
また、お薬による治療の中で、がん細胞の癌の原因を分子レベルで、ピンポイントで治療する分子標的薬、さらに免疫チェックポイント阻害薬などにより、副作用も少なく、治療効果も著しく改善しています。

二見いすず: 昔は、「手術ができないと諦めるしかない」というイメージでしたが、今はそうではないんですね?

井上 博雅Dr: はい。
先ほどお伝えしたような新しい治療法もありますので、諦めず一緒にがんばっていきましょう。
そしてみなさんご存知のとおり、肺がん予防の一番の対策は禁煙です。
苦しまずに禁煙をサポートできる薬もありますので、禁煙外来に足を運んで下さい。

二見いすず: よく分かりました。
今月は呼吸器疾患をテーマに鹿児島県医師会、鹿児島大学 呼吸器内科の井上 博雅ドクターに貴重なお話をしていただきました。
井上さん、ありがとうございました。

井上 博雅Dr: ありがとうございました。