2022.12.31 第1026回放送分『新型コロナとインフルエンザ』5回目 ゲスト:西 順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「新型コロナとインフルエンザ」をテーマにお送りいたします。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎(にし じゅんいちろう)ドクターです。
西さん、どうぞよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、新型コロナとインフルエンザの検査について教えていただきました。
今日は何についてお話いただけますか。

西順一郎Dr: 今日は新型コロナとインフルエンザの治療薬についてお伝えします。
まずは新型コロナでは、高齢者や基礎疾患がある人が、軽症のときから使える飲み薬として、ラゲブリオやパキロビッドパックがあります。

二見いすず: ラゲブリオやパキロビッドパックは、高齢者や基礎疾患がある方でないと使えないんですね?

西順一郎Dr: そうです。
ただ、今月からゾコーバという国内で開発した新しい飲み薬が、重症化リスクの高くない12歳以上にも使用できるようになりました。
せき、鼻、のど、熱、だるさの5つの症状がみられる期間が24時間短くなります。

二見いすず: 24時間早くラクになると、だいぶ違ってきますね。

西順一郎Dr: そうですが、24時間といっても臨床試験では症状のある期間が8日から7日になるという程度ですので、症状の程度に応じて飲む必要があります。
また、今後の有効性の再検証が必要です。

二見いすず: 分かりました。
続きましてインフルエンザの薬について教えてください。

西順一郎Dr: インフルエンザの治療薬は5種類ありますが、細胞からウイルスが出ていくのを防ぐタミフルやリレンザなどの薬と、ウイルスが細胞の中で増えるのを抑えるゾフルーザに分かれます。
それぞれ特徴がありますので、医師と相談して使うようにしましょう。

二見いすず: インフルエンザの治療薬は5種類あるとのことですが、効果はそれぞれ変わってきますか?

西順一郎Dr: いいえ、症状を軽減する効果はどれも同じくらいです。
インフルエンザは自然に治る病気ですが、薬を飲むことで、インフルエンザ症状の強い期間を約1日早く改善させることができます。
ただし、基礎疾患のない人では発症から48時間以内に使わないと効果はありません。

二見いすず: なぜ48時間以内に飲まないと効果がないのでしょうか。

西順一郎Dr: 基礎疾患のない人では自然に治ってしまうので、飲むのが遅れると飲んでも飲まなくても差がなくなるからです。

二見いすず: そういうことなんですね!

西順一郎Dr: コロナもインフルエンザも治療薬はいろいろありますが、免疫力を高めるために睡眠と栄養という基本的なことを大切にしましょう。

二見いすず: このお正月休みで、生活リズムが普段より崩れがちになる方もいらっしゃると思います。
睡眠と栄養をしっかりとることを心がけたいですね。
さて、ドクタートークをお聞きになってくださっているみなさん、今年も1年間ありがとうございました。
来年もみなさんにとって健康でよい年になるよう、これからも役に立つ健康情報をお届けしてまいります。
今月は「新型コロナとインフルエンザ」をテーマにお送りいたしました。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎ドクターでした。
西さん、ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。