二見いすず: | 今月のドクタートークは「心血管病」をテーマにお送りしています。 お話は鹿児島県医師会の大石充(おおいし みつる)ドクターです。 大石さん、どうぞよろしくお願いいたします。 |
大石 充Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 先週は、去年10月に鹿児島大学病院に新しく開設された「心血管病低侵襲治療センター」についてお話いただきました。 これまでは県外で治療しなければならなかった心臓の低侵襲治療が、県内でもできるようになったという、うれしいニュースでした。 ところで、こちらの治療センターでは、具体的にどのような治療を行っているのでしょうか。 |
大石 充Dr: | いくつかありますが、今日は心臓弁膜症の治療についてお伝えします。 心臓には4つの弁があります。 これは、血液を一定方向に流すためのドアのようなものと想像してください。 しかしこの弁が、開きにくくなったり、逆に閉じにくくなったりするのが、心臓弁膜症です。 |
二見いすず: | 弁が開きにくいのと、閉じにくいのと、2種類あるんですね。 では、それぞれ詳しく教えてください。 |
大石 充Dr: | まず、4つの弁のうち大動脈弁が開きにくくなっているのを「大動脈弁狭窄症」といいます。 全身に血液を送る左心室の出口が狭くなってしまうため、体を動かしたときの狭心痛、脳への血流減少による失神、心不全による息切れや夜間の呼吸困難などの症状があらわれます。 |
二見いすず: | この大動脈弁狭窄症の治療は、どのようにされるのでしょうか? |
大石 充Dr: | 高齢者の場合にはカテーテルを使って手術します。 カテーテルの先に風船が付いていて、風船の外に人工弁が付いています。 手術の最後に、その風船を外したら終わりです。 手術時間はわずか90分で済みます。 |
二見いすず: | そんなに早く済むのですか? |
大石 充Dr: | はい。 今までは胸を開け、一度心臓を止めて、弁を交換するという6時間もかかる大手術でしたが、短時間でできるようになりました。 |
二見いすず: | もう一つの弁が閉じにくくなっている方の手術も、短時間でできるのですか? |
大石 充Dr: | はい。 僧帽弁が閉じにくくなっている病気は「僧帽弁閉鎖不全症」と言います。 こちらの手術は、あらかじめカテーテルの先にクリップを付けておき、それでカチッと留めるイメージです。同じく手術時間は90分です。 |
二見いすず: | 去手術が短時間だと、負担もかなり軽減されますね。 |
大石 充Dr: | そうですね。 もちろん、そもそも心臓弁膜症にならないようにすることも大切です。 原因は加齢の他に、生活習慣病も挙げられます。 40歳以上の方は特定健診を受けましょう。 早期発見すれば、普通に社会復帰できる病気です。 |
二見いすず: | よく分かりました。 お話は鹿児島県医師会の大石充ドクターでした。 ありがとうございました。 |
大石 充Dr: | ありがとうございました。 |