2022.2.26 第982回放送分 『心血管病』4回目 ゲスト:大石 充ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「心血管病」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の大石充(おおいし みつる)ドクターです。
大石さん、どうぞよろしくお願いいたします。

大石 充Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 最終日の今日は、何についてお話しいただけますか。

大石 充Dr: 今日は、「心原性脳塞栓症」についてお伝えいたします。

二見いすず: 心原性脳塞栓症ですね。
これはどのような病気なのでしょうか。

大石 充Dr: 心原性脳塞栓症とは、心臓が原因で起こる脳梗塞です。
心臓の中で血栓ができ、それが脳に飛んで詰まるのですが、他の原因で起こる脳梗塞に比べ、重症化しやすく死亡率が高いと言われています。

二見いすず: 脳梗塞の中でも、心臓が原因のものは危険なんですね。
可能な限り予防したいですが、何か方法はあるのでしょうか。

大石 充Dr: 心房細動によるものなので、該当する人は気をつけるようにしてください。
通常は1分間に60〜80回の規則正しいリズムで心拍を刻みますが、心房細動は心房が1分間に200回程度ほとんど震えているだけの状態になり、脈が速くバラバラの脈になる不整脈です。
心房細動に伴う血栓のほとんどは、心臓の左心耳にできます。

二見いすず: 治療はどのようにして行っていくのですか?

大石 充Dr: 心房細動による脳梗塞の予防として、抗凝固薬内服が広く行われていますが、副作用として出血があげられます。
胃や腸、そして脳出血が主なもので、いずれも致命的になることがあります。
そこで抗凝固薬内服の継続が難しい患者さんに対しては、これまで外科的に胸を開いて左心耳を手術するしかなかったのですが、このたびカテーテル手術ができるようになりました。

二見いすず: 心臓の左心耳を治療することで、心房細動による脳梗塞を予防することができるんですね。

大石 充Dr: はい。
ただし心臓による脳梗塞の原因には、もう一つあります。
卵円孔開存症です。
卵円孔は、右心房と左心房の壁に開いている穴で、この穴を通して血栓が流れ、その血栓が脳梗塞の原因となります。
こちらは激しい頭痛がある人は注意が必要です。
この卵円孔開存症も、カテーテルにて手術できるようになりました。


二見いすず: 去年の10月に鹿児島大学病院に開設された、「心血管病低侵襲治療センター」により、さまざまな心臓の疾患が手術できるようになったのですね。

大石 充Dr: はい。
県内の患者さんでこれまで治療を諦めていた方も、治療を諦めずに、ぜひ私たちに相談していただきたいです。


二見いすず: 今月は「心血管病」をテーマに、貴重なお話をしていただきました。
お話は鹿児島県医師会の大石充ドクターでした。
ありがとうございました。

大石 充Dr: ありがとうございました。