2022.6.18 第998回放送分 『熱中症』3回目 ゲスト:長間 将樹ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「熱中症」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島市立病院救命救急センターの長間将樹(ながま まさき)ドクターです。
長間さん、どうぞよろしくお願いいたします。

長間 将樹Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は熱中症になる環境的要因について教えていただきました。
気温、湿度、そして輻射熱の3つの要素をもとに算出された、暑さ指数が28をこえると、熱中症になる危険性が急激に高まるため、注意が必要ということ。
そして今年4月から全国で運用された熱中症警戒アラートなど、熱中症に関する情報をしっかりキャッチすることが大切というお話でした。
今日は何について教えていただけますか。

長間 将樹Dr: 今日は熱中症の症状についてお伝えいたします。
私たち医療従事者は、重症度に応じて軽い方からT度、U度、V度と、3つに区分けしています。

二見いすず: 一番軽いT度は、どのような状態なのでしょうか?

長間 将樹Dr: T度ですと主な症状としては、めまい、立ちくらみ、筋肉痛、こむら返りなどです。
このような状態でしたら、涼しいところで休み、しっかりと水分を補給してください。

二見いすず: 分かりました。
ではU度はどのような状態ですか?

長間 将樹Dr: U度になると、頭痛やだるさ、吐き気や嘔吐、判断力の低下や軽い意識障害が出てきます。
かかりつけ医にて点滴をしてもらい、血液検査もしてもらうといいでしょう。

二見いすず: なぜ血液検査が必要なのでしょうか?

長間 将樹Dr: 臓器障害があるかどうかを調べてもらうためです。

二見いすず: そうなんですね。
ではV度についても教えてください。

長間 将樹Dr: 最も重症度が高いV度は、強い意識障害、痙攣、脳や肝臓、腎臓などの内蔵機能の障害がみられます。
救急車で運ばれてきたら、意識レベルと腎臓、肝臓の数値をみます。
重症の場合、のちのち脳の障害が出てくることもあります。

二見いすず: 熱中症もV度になると、かなり危険だということですね。

長間 将樹Dr: そうですね。
しかし、T度の場合であっても、まぁ大丈夫だろうと安易に考えるのは危険です。

二見いすず: それはどうしてですか?

長間 将樹Dr: 例えば立ちくらみの場合、暑い日だとご自身で勝手に、「軽い熱中症かも」と決めつけがちですが、もしかしたら別の病気という可能性もあります。
先ほどもお伝えしたとおり、いったんは涼しいところで水分補給をすることはもちろん大切ですが、熱中症以外の可能性もあるので、だるさやめまいなどの症状が残っていたら、かかりつけ医に診てもらうことをおすすめします。

二見いすず: よく分かりました。
今月は熱中症についてお伝えしてまいります。
お話は鹿児島市立病院救命救急センターの長間将樹ドクターでした。
ありがとうございました。

長間 将樹Dr: ありがとうございました。