2022.6.25 第999回放送分 『熱中症』4回目 ゲスト:長間 将樹ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「熱中症」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島市立病院救命救急センターの長間将樹(ながま まさき)ドクターです。
長間さん、最終日もどうぞよろしくお願いいたします。

長間 将樹Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は熱中症の症状について教えていただきました。
重症度に応じて軽い方からT度、U度、V度と3つに区分けされ、
それぞれに対応などが変わってくるというお話でした。
最終日の今日は、何について教えていただけますか。

長間 将樹Dr: 今日は、救急で運ばれてきた場合の治療についてお伝えいたします。
運ばれてくる患者さんは脱水状態で体温が高いので、まず点滴をして体内の水分を増やします。
そして体温を下げるために、皮膚に霧吹きで水をかけて、扇風機で風を当てていきます。

二見いすず: 皮膚に霧吹きで水をかけて、扇風機で風を当てるというのは、自宅や学校などでもできる処置なので、覚えておくといいですね。

長間 将樹Dr: そうですね。

二見いすず: ただ、自宅などでもできるこのような処置では、重度の患者さんの場合、体温が下がらないのではないですか?

長間 将樹Dr: はい。
その場合は、鼻から胃にチューブを入れて、冷たい水を送り込み、体内から冷やすようにしています。
また、膀胱内にも尿道からカテーテルを入れて、膀胱に冷たい水を送り込み、冷やすようにしています。

二見いすず: チューブやカテーテルで、体の中から冷やす方法があるんですね。

長間 将樹Dr: これらは結構昔から行われている方法です。
今は機械も発達してきているので、血管内冷却カテーテルといって、カテーテルの周辺に風船が3つほど付いているものがあって、その風船の中を水が循環するものがあります。
これだと血液の温度を下げることができます。
体の大きい方などは、熱の下がり方が遅いので、こういった治療を適用することがあります。

二見いすず: 体の温度を下げることが、いかに大切かが分かりますね。

長間 将樹Dr: そうですね。
点滴での水分補給と体を冷やす治療を行い、さらに脳や肝臓、腎臓といった重要な内蔵がダメージを受けている場合は、個別に治療していきます。

二見いすず: 脳などにダメージを受けてしまうと、やはり後遺症が残ってしまうのでしょうか。

長間 将樹Dr: はい。
残念ながら、脳がダメージを受けて意識が戻らないままになる方や、腎臓の後遺症で人工透析が必要となる方、寝たきりになってしまう方もいらっしゃいます。
夏の暑い時期には、ご自身の行動に十分に注意していただきたいと思います。

二見いすず: よく分かりました。
今月は熱中症をテーマに、鹿児島市立病院救命救急センターの長間将樹ドクターに貴重なお話をしていただきました。
長間さん、ありがとうございました。

長間 将樹Dr: ありがとうございました。